議員報告・人間万事塞翁が馬

コロナ対策費の行方
11月27日の記事より

赤井川村に入った『新型コロナウイルス感染症対策臨時交付金(以降コロナ交付金)の行方』についてお伝えしようと思います。
但し、コロナ対策は現在進行形の事業なので流動的。今からご紹介する数字も今後の利用如何で変更もありうることをご承知の上でお読みください。
あくまで分かりやすさをテーマに変更点があれば後日お知らせしていこうと考えています。

先ず、国から交付金として頂いた金額はご存知でしょうか・・・?
現在二回に分けて補正予算として確定した交付金が赤井川村に支給されています。
一次分として約2千万円(21,947,000円)
二次分として約7千万円(71,183,000円)
合計9,313万円の行方です。
先ず、村はそのお金に一般財源から2,302万円(わかりやすいように万単位、それ以下の金額は切り捨です)を上乗せしました。
上乗せのカラクリはあとで説明が入りますが、合計11,615万円がコロナ対策事業として利用できる総額です。

では、その行方ですが、先ず身近にご存じなのはマスクではないでしょうか・・・?
スーパーや薬局にマスクが消えたのは記憶に新しい所ですが、その時、国はアベのマスクを作り『国民一世帯に二枚を配布』という斬新な策に出ました。マスコミは「小っちゃいんじゃないか?」とか、「3人以上いる家庭はどうなるんだ!」と騒いでいる中、赤井川村は役場の職員の手作業で村民にひとり10枚。不織布で出来たマスクを配りましたよね。その費用はこのコロナ交付金を利用したものです。
その事業費が約200万円。人口1200人で割るとひとり約1600円也。

マスク代が200万円、残りは一億以上。――――「まだまだあるよ~交付金」ってことになりますが、その後、コロナ交付金の使い道を9月の広報にて『特集・新型コロナウイルス対応』というタイトルで紹介しました。
「そちらを見て下さい」と言えば、これで話は終わりますが、分かりずらいモノもあるので細かく見て行こうと思います。

議員に配られた資料によるとマスクは≪ 感染拡大防止対策費 ≫というグループに入ります。マスク以外では、
配食支援13万円(ゴールデンウイーク中の介護者向け配食支援)
公共的空間完全確保事業 320万円(今後災害が発生した時の為に用意したマスクや消毒液、防護服など)
感染症リスク低減支援金 100万円(あとで出てくる休業要請の対象外の商店や理髪店などへの支援金)
保育所・学校空調整備事業 3989万円(保育所小中学校にエアコンを設置することになりました)
このグループ(感染拡大防止対策費)の合計が4622万円です。
この中で一番高額なのはエアコン代。小中では、授業日数確保の為、夏休みに授業を行うことが決まっていました。それに間に合うように設置してもらいたいとお願いしましたが、色々な手続き上、間に合わせることができませんでした。年度内には設置され、来年以降の使用になります。

ここで最初の疑問。――――「事業費が余ったらどうなる・・・?」。
既に配られたマスクは決定金額ですが感染リスク低減支援金は予算です。10万円の支援金が10件配られるだろうと予想して予算付けされています。希望者が5件しか来なかったら50万円余ることになりますよね。その50万円はどこに行くのでしょうか?
どこにも行きません。先に紹介した村の上乗せが減ることになります。交付金の中だけでやりくりしようとすると、お金が余った場合、返金しなければいけません。あくまで交付金を使い切るための上乗せだと考えても良さそうです。

次に、村から独自に臨時給付金を頂いた事業者がいることはご存知でしょうか・・・?
休業要請を受け、自粛期間がゴールデンウイーク前後にありました。その期間、事業者は収入がありません。道はそんな事業者に給付金を配りました。でも、給付条件があり(意外にハードルが高く)、村内で該当する事業者は少ない。そこで村独自の支援事業を行いました。それは1回にとどまらず2回行うことになりました。その支援金を含めて、グループを≪ 雇用維持・事業継続対策費 ≫と言います。
二回支払われた支援金は感染症対策臨時休業支援金。合計560万円。(対象になる事業者は14)
その他、学生生活緊急支援金 181万円(村出身の高校生以上の学生を対象)
子育て支援金 274万円(中学三年生まで対象)
事業継続支援金 565万円(ご存知の方も多いと思いますが事業者のコロナ対策費で、農業者も頂ける支援金でした)
道の駅農産物直売所空調整備設置事業(一番文字の多い事業です(笑)) 250万(直売所のコロナ対策費)
換気対策扇風機購入事業 52万(体育館や温泉、道の駅に導入した扇風機)
宿泊施設活性化支援金 750万円(これは要請解除後、宿泊者に農産物をPRする為に行いました)
そして、このグループで一番分かりづらいのが、遊休農地再生モデル事業と新規就農支援事業の二つ。合計577万円です。
コロナ対策費として疑問に思うかもしれませんが、コロナ禍で新規就農者が増えるだろうと想定し、受け入れ農地の確保、研修時に使う潅水器材の購入に充てるようです。
当初「今これが必要なの?」と思いましたが、来年の新規就農者の希望者はかなり多いようで、対策費としては、役に立つ方向に進んでいるように感じています。
このグループ(雇用維持・事業継続対策費)の合計が3209万円

≪ 強靭な経済活動の構築費用 ≫というグループがあります。
議員のみに配られた資料に書かれたタイトルなので、その後、このタイトルが使われているか分かりませんが、簡単に言えば、村庁舎の内にズーム会議やテレワークに必要な設備を整えようとする費用です。
合計735万円

≪ 経済活動の回復 ≫というグループもあります。
低迷するであろう村内土木事業者への公共工事です。これもコロナ対策費と直結するとは考えにくい事業費ですが、国からは認められた使い道のようです。
都川の排水工事/橋の補修工事/排水管の工事の三つで合計3387万円。公共工事の前倒しと考えれば良いかなぁ・・・。

ここで紹介した各グループの合計金額を合算すると11,953万円になります。
最初に紹介した交付金に村の持ち出しを合わせた額11,615万円と、若干開きがあるのは事業費継続の為に生まれる誤差ではないでしょうか・・・?
今後変わってくると思います。先ずは12月の定例会で示される補正予算で、実際の事業費が示されることでしょう。


11月30日の記事から

コロナ対策費の骨格にあたる対策費の総額と事業費と使用用途を説明しましたが、先ずは紹介した4つのグループを割合で見てみましょう。

≪ 感染拡大防止対策費 ≫    38.6%
≪ 雇用維持・事業継続対策費 ≫ 26.8%
≪ 強靭な経済活動の構築費用 ≫  6.1%
≪ 経済活動の回復 ≫      28.3%


になります。
個人的な意見としては、クーポン券や商品券、または現金を配るという対策費がなくて良かったと思っています。
現実的に言えば「お金を配る」ことが一番実感力のある支援だと知っていますが、村の経済を循環させるという効果を考えると、利用券があっても使える場所(用途)が少ない為、目的のないバラまきになりかねない。
その観点から他市町村のようなクーポン券の配布がなかったことを村民の方もご理解頂ければと思います。

次に、ブログでは以前から「コロナの最大の被害者は子供たち」と言い続けてきましたが、望み通り、子育て支援の対策費が多かったのは良かった点だと評価しています。
犠牲と言う言葉を使うべきではないかも知れませんが、中学三年生にとって地元で学ぶ最終学年。色んな文化イベントやスポーツイベントが中止になったという点では一番の被害者ではないでしょうか。
この学年に光を当てることが赤川村の教育の厚みにつながると考えています。子育て支援は幅広いサポートを求めていきますが、中三の生徒達には、更に手厚いサポートができるよう教育現場にも働きかけて行きたいと思っています。

残念だったのが、経済活動の回復というグループに全体の28%も交付金が当てられたこと。事業の中身は公共工事の前倒しです。
「そのうち、やらなくてはいけない工事」を村内事業者に発注したことに過ぎません。
前に書いた通り、不適切な使い道だとは言いませんが、政策としてはあまりにアイデアが無い。前倒しした分は来年度以降の予算に反映できるので、今後の政策に気を配りたいと思います。

次に、コロナウイルス感染症対策臨時交付金の第三次について説明します。
第三次分があることは政府も早くから発表していますがどれだけの交付金があるかは未だ不透明です。
ご存知の通りコロナ感染も第3の波が再燃し、国も経済対策から感染予防対策に軸足を変え、当然、予算の見直しも余儀なくされてくることでしょう。
そんな見通しができない三次交付金ですが、赤井川村は予算の中から『光ファイバー網整備事業』を行うことが確定しています。――――「来年度中には全村民が均等に光ファイバーが使えるようになります」
今まで村は金銭的な理由からやれなかった事業。今回、国の思惑も重なり、コロナ対策費と過疎債(過疎地域自立促進特別措置法に基づいて発行される地方債)を利用し、村の持ち出しは3500万円程度で情報インフラ整備(光回線ネットワーク網)が行われることになりました。
こちらも、以前からお伝えしていた通り、情報インフラの整備について真っ先に取り組んだ課題でした。当初、村は「お金がない!」と一点張りでしたが、思わぬところで転がり込んできたことになります。
学校教育でもGIGAスクールが始まり、小学生からコンピューターを使ったプログラミング教育が始まりました。大人たちも乗り遅れることなくパソコンやスマホ、タブレットの利便性を追求すべきだと考えます。
「おいおいまたかよ」との意見もあるでしょう。面倒なことだし、そんな声を無視するわけではありませんが、家電や車などがネットとつながり(Iotと言います)、機能や性能を上げているこの時代に利用しない手はありません。
自宅までの引き込み料金はかかりますが、是非多くの方が光回線を利用し、生活の質の向上につなげて貰いたいと考えます。
既に、光回線の普及と利用促進は強くお願いしています。
GIGAスクールに対抗してJIBA(ジジ・ババ)スクール(高齢者に向けたパソコン・スマホ教室)の開設を要望していこうと思っています。

コロナ関連最後に、村内飲食事業者(3事業者の連名)から村、及び議員に対し対策支援の要望書が提出されました。
村の対応としては、国や道で行った休業補償、村独自で行った支援に加え、給付金を支給することは検討していないということを伝えましたが、飲食と宿泊の大変さは心が痛いほど理解できます。
協議した内容なので議会も了承したことですが、近いうちにもう一度実情を整理する必要があるのではないかと考えています。
飲食店・宿泊業者を守るのは、この異常事態では当然です。ただ、GoToイートに参加した赤井川村の事業所だけでも18店舗(キロロエリア内ばかりです)。それ以外にも数事業所があります。
その事業者を均等に支援する為には、先ずは国や道の制度を上手く利用した上で判断して行かなければなりません。
三次交付金の利用も含め、今後どのような措置がなされるか?しっかりと監視しなければいけない課題ですね。

金曜日に行われた臨時議会で地方公務員(議員も含みます)のボーナスカットが可決されました。
カット比率が本当に世間的に見合ったものか、少し疑問はありますが、国全体で考えると大きな額になることは間違いありません。
お金の必要性をあえて言うつもりはありませんが、「払う」「あげる」「渡す」「集める」「失う」「奪われる」、人は自分のお金を利用するとき、それぞれの感情が付きまとうものです。
少しでも不公平感をなくす為には丁寧な説明が必要。それは村の財産にしても同じことです。少しでも多くの住民の方に、コロナ対策費の使われ方をご理解いただく一助になればと思います。
『コロナ対策費の行方』はこれで終わり。尚、間違いがないよう心がけて紹介したつもりですが、お気づきの点がありましたらお知らせ頂けると幸いです。