議員報告・人間万事塞翁が馬

僕のエネルギービジョン

昨年の11月から3回、赤井川村エネルギービジョン策定委員会という会議がありました。

議員代表として山口議員とふたりで参加してきました。
細かな内容や提言は、のちに村のHPなどで紹介されると思うので、
簡単ではありますが、私が感じた赤井川村のエネルギービジョンについて書いておこうと思います。
先ず、今委員会の背景にあるのはこれ。

2020年10月26日、第203回臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言。
※「排出を全体としてゼロ」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いてゼロを達成することを意味しています。



脱炭素と言っても、近代文明は炭素社会で発展してきました。石炭・石油・天然ガス、近年話題になっているメタンハイドレートなども含まれ、それらをエネルギーに変換する際に出る炭素をゼロにして生活はなりたつのでしょうか?
先ずはその辺を解説してみたいと思います。

〇 少し遡ります。
中学の時に理科の先生、
「石油はあと20年もしたらなくなる。だから、原子力が必要になるんだ」
「連くんも一杯勉強しなさい。核融合ができる装置をつくったらノーベル賞が取れるかもしれないよ」
そんな授業があったことを覚えています。
当時はまだ、原子力発電はなく原子力潜水艦の『むつ』が話題だったころではないでしょうか・・・?
核融合という半永久的なエネルギーを出し続けるサイエンスにワクワクしたのを覚えています。
ここで注目したいのは、先生の言った「石油は20年でなくなる」って言葉。
今でも産油国は石油を輸出し、日本に石油から精製するガソリンや灯油は無くなっていませんよね。

〇 石油って無くならない?
もともと計算違いから石油はまだまだあると言われています。――――「計算違いかよ!」と思われる方もいますが、掘削技術の進歩もあるようです。
ただ、化石燃料と言われる通り、過去に作られてきた資源なので枯渇する日がいつか来るでしょう。そこで、メタンハイグレードやバイオマスが注目されています。
ただ、地球にある天然の植物自体がオイルを豊富に含み、セルロースから石油成分が合成可能ですから、サイエンスの力で色んな燃料は今後も生み出されるでしょうな。
とにかく地球上には炭素は豊富にあると言うのは間違いないようで、炭素文明の終わりを心配する必要はないと言うのが科学者の見解のようです。

〇 ではなぜ脱炭素?
炭素を利用した燃料はまだまだあるとして、カーボン(炭素)をゼロ(0)にしようと言うのはなぜでしょうか?
これは簡単なことで、燃料からエネルギーを取り出すときに出る排出ガス。つまりCO2が問題で、温暖化の原因物質なのです。
ホント簡単にお話すれば、地球はオゾンという物質によって守られています。分厚い透明のカーテンを想像してもらうと良いのですが、そのカーテンが地球にある酸素を逃げないようにしたり、保温効果、更には太陽光を遮断したりしてくれているのです。その大切なオゾン層を破壊するのがCO2。CO2が増えるとオゾン層が薄くなり、太陽の紫外線や熱が今まで以上に地球に注がれることになります。
つまり地球温暖化ですね。
温暖化が進むと2050年までには北極の氷が一旦全て解けるだろうと予測している研究グループもある。また、興味深いのは、環境省は2100年までに風速90メートル級の台風が来るだろうと発表しています。(ちなみに日本で過去最高が風力40メートル台)
90メートルを超える風が吹いたら、普通の家はぶっ飛んじゃうわけですよね。それを食い止める為、つまり、地球温暖化を食い止めるためにCO2の排出量をゼロにしようと言うことです。

〇 カーボンゼロって?
SDGsにも掲げられるカーボンゼロ。実際に無くすことが出来るの?と言えばそれは無理。
人間は生命維持機能として酸素を吸って二酸化炭素(CO2)を排出しているから、そもそも人間が生きているだけでカーボンを生み出しています。
だから、ゼロと言う表現をカーボンフリー(均等)と言うべきかも知れませんね。
では、CO2をどうやって減らすことが出来るのか・・・?
これも理科の授業で習ったと思いますが、植物はCO2を吸収してくれます。
生物や燃料の排出するCO2と植物、特に森林が吸収し、CO2が均等になることがカーボンフリーなわけです。

〇 おまけ
今までお話してきたこと、――――「そんなことわかってる!」と言う人もいるでしょうね。でも、このあと話す内容の前には避けては通れないのです。
では、こんなのはご存知でしょうか・・・?
『ひやっしー』
サイエンスの分野は本当に頼もしい。
ある程度バランス(均等)が必要なことは分かってきました。地球温暖化の原因は人や動物が生み出すCO2が原因で、吸収する森林が減ってCO2が過剰になってきたわけです。
過剰になってきたCO2をサイエンスの力で減らそうと言う装置が『ひやっしー』。
詳しい情報はググって下さいね。CO2からエネルギーを生み出す夢のような装置。なんと日本の高校生が作ったとは驚きです。(実用化されています)

〇 再生可能エネルギーつまりエネルギービジョン
CO2を大量に減らすための取り組みは再生可能エネルギーに託されることになります。
CO2を生まないエネルギーの事ですね。色々とご存知だと思いますが、思いついた再生可能エネルギーを書き出してみます。
太陽光、風力、波力、流水力、熱、バイオマスぐらいでしょうか・・・?
ではもう少し細かく見ていくと
太陽光には太陽の光を電気に変えるエネルギーと熱に変えるエネルギーがあります。
風力・波力・流水力は運動力とも言われ地球の運動の力をエネルギーに変えることです。
熱には地熱(温泉熱)のような地球の熱からエネルギーを生み出す方法と、マイナスの熱、つまり雪などの冷熱もあります。
あと、原子力もCO2を生み出さないエネルギーのひとつですが、原子力が含まれないのは再生が不可能だからです。(核のゴミが話題になっていますよね)
「再生可能エネルギー」と言っているのは、あえて原子力を除く意味があるのかもしれません。

〇 エネルギーの割合
では、話題の再生可能エネルギーってどれくらい使われているの・・・?
昨年発表された2019年の数字では化石燃料によって生まれた全体の75%です。
かなり増えてきてはいますが全体の75%。更に、これは電力に変えられた数字で、車やストーブの熱が入っているわけではありません。
つまりまだまだ再生可能エネルギーの普及には時間と努力が必要のようですね。
〇 赤井川村のエネルギー事情
これはどこの市町村も抱える問題ですがCO2の排出は減らした方が良いに決まっています。
本来は、「今日赤井川村のCO2排出量は〇〇、吸収量は〇〇」と数値化するとわかりやすいのでしょうが、
現在、はっきりと数値することは難しく、指標はあっても実数を求めるのは無理のようです。
つまり、北海道電力の供給に対するCO2の排出量は数値化することはできても、普段、私たちが生活で使う化石燃料まではなかなか数値化できない。
更に「森林がどれくらいCO2を吸収するか?」と言う問題は、現在、森林面積による目安はあるようですが、まだまだ明確なものではなさそうです。
ただ、目標がないからできないのではなく、目標がないから減らせるものは減らしていこうという考えのようです。
ここで資料をひとつ



〇 導入プロジェクト
さて、エネルギービジョン策定委員会ですが、
学識経験者として北海道大学の石井一英教授を始め、村からは村長・副村長、アドバイザーとして北海道立総合研究機構、オブザーバーとして北海道経済産業局、出光・三井・JRと企業の方も加わり、錚々たるメンバーが集まり、合計三回行われました。コンサルタントは日本環境技研。
最後の提言として示されたプロジェクトは7つです。
1.小水力発電事業化プロジェクト
2.地熱発電事業化プロジェクト
3.庁舎等の災害対応拠点等における減災防災型再エネ導入プロジェクト
4.農業倉庫や農業振興センター等における再エネ導入プロジェクト
5.カルデラ温泉、体育館における再エネ導入・エネルギー融通プロジェクト
6.脱炭素地域コミュニティ事業化プロジェクト
7.赤井川地域新電力(仮)等の設立、関連インフラ構築プロジェクト
詳しくは下の資料をご覧下さい。



現在、可能性の高いプロジェクトは①の小水力発電プロジェクトと⑤のカルデラ温泉のエネルギー融通プロジェクトでしょうか。
①小水力は三井住友建設が以前から取り組んできたもので轟鉱山跡地にて調査されているものを進めることになります。
電力の供給量に問題はありそうですが、蓄電、売電、送電、電力のピックアップ技術、それらを応用して実現を目指します。

⑤は温泉の掘削調査を本年度行う予定で、現在の2号井から更に深く掘り、より効率的な温泉水を取り出し、温泉利用だけではなくコスト高の庁舎や体育館の暖房に使えないかということが狙いのようです。

〇 温泉の利用
個人的には地中の熱を取り出して放出するわけなので、温泉利用と地球温暖化を結びつける必要も感じています。
温泉の熱量を100%利用し、CO2の排出を減らせるなら良いのですが、夏場などは垂れ流すことになるのでどうでしょうか・・・?
ただ、個人的にも温泉は大好きだし、村の観光に欠かせない施設なので事業としては村にとって有利な施策だと思います。
小水力に温泉利用と、真新しいものはなかった気がしますが、温泉熱と一緒に太陽光や風力を使った複合的、更には計画的な街づくりにつながると良いなと思います。

〇 おまけ(パート2)
電気と言えばやはり原子力の存在は無視できませんな。
前記したように核のゴミ問題が解決しないうちに、個人的に原発を容認する気にはなれません。でも、サイエンスとしては進めるべき技術だと思っています。
新しい技術では小型原子炉が注目されています。あの東芝が開発し、あのビルゲイツが視察に来たと有名になったやつです。
制御棒がなく燃料の交換が40年ぐらいは不要の夢のような発電機。自然冷却も可能なので、半永久電地と言えるでしょう。
それを家庭用にまでコンパクトにする開発も進められているようです。
40年使うとどのくらいの核のゴミが出るのか分かりませんが、本当に少量のカスが残るぐらいなら実用化も楽しみですね。
もちろん反対派も出るのでしょうが「初期投資が100万円程度で40年電気使い放題なんてプランがあればどうでしょうかね?」(根拠のない夢の話です)

〇 個人でできる取り組み
最も大切な事は個人個人がサスティナブルな未来を意識することではないでしょうか。
借りたものは借りた時より綺麗にして返す。預かった地球を汚れたまま次世代に引き継がない。
まさに今抱えている環境問題はパンデミックの一歩手前(パンデミックレディー)です。
――――「今改善しないと手遅れになる。できる事から始めましょう」。
進行を務めて頂いた北海道大学の石井教授が最後に私たちに伝えた言葉を(議事録がないのでうる覚えです)
「いきなりじゃなくていいと思うんです。例えば、次、車を乗り換えるときにHV(ハイブリッド車)にしようとか、次はEV(電気自動車)にしようかとか、
家はなかなか建て替えられないけど、少しでもCO2の排出を減らす努力をすれば良いと思うんです」。
印象的なお言葉を最後に聞けて、本当に嬉しかった。

〇 終わりに
事実なので大きな声で言いますが、石井先生の最後のメッセージを聞いてとても嬉しかったのは
10数年前から、気づいて実践し始めたのが僕だからです。
台風でビニールハウスをめちゃくちゃにされた時、CO2の問題と向かい合う決意をしました。
「ぼく一人で何ができる」ではなく、「自分でできる事をやろう」と、最初に行ったのが車を一台減らすこと。
家から畑の往復は自転車で、、、。あまりに効率が悪いので、二年目からはバイクにしましたが、、、、。
畑はなるべく機械を使わず手作業。家はオール電化。化石燃料をなるべく使いたくなかった。
更に、車はなるべく燃費にこだわった小さなコンパクトカー。
今の車もそろそろ買い替え時だと思います。次は、必ずEV車(日産リーフがいいかな?)を買いたいと思っています。
「結局、自慢かよ!」と言う人もいるかもしれませんね。でも、気づいた人からやる。できる人から始める。
一番大切なことではないでしょうかね。
「人は生きているだけで地球にはダメージを与えます。でも、人が生み出すサイエンスがこの地球を守るかも知れません。そんな英知を信じて、出来る事から始めませんか」

そんなことで私のエネルギービジョンは終了。
最後まで読んで頂きありがとうございます。