一般質問2022年度9月定例会

『 赤井川村におけるエネルギーの課題 』 ( 回答者 村長 )
 

現代のエネルギー問題は、エネルギー資源の枯渇と人的な気候変動を主軸に考察しなければいけません。化石資源が限りある資源であることは言うまでもありませんが、地球規模の気候変動においては具体的な目標が、2015年パリ協定で交わされました。『世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える努力を追求する』というものです。
そのパリ協定を受け、日本は2020年に、2030年の目標として46%(2013年度比)(さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていく)の温室効果ガスの削減と、2050年にはネットゼロ(つまり排出するCO2量にに吸収するCO2の量を差し引くと合計ゼロになる)を掲げました。
それから二年が経ち、現状を見回すと、誰もが肌感覚で気候の変化を感じていても、エネルギー問題と言えば、難しい問題だからとか、自分がひとりが頑張ってもとか、少し遠い世界の話のように考えている人が多く、各市町村の動きを調べても関心はバラバラで、国の指針が示されるのを待っているというのが現状ではないでしょうか。

2019年国連気候行動サミットで13歳の活動家、グレタ・トゥーンベリが訴えたのは、地球温暖化は特定の国や特定の企業または特定の社会が悪いのではなく、本気で取り組んでいない大人たち、つまり、私たち個人個人への叱責でした。彼女の訴えを聞き、もっと地球環境や資源、気候、電気、エネルギーといったことに興味を持ち、正しい知識を持つべきだと考えた人は多いと思います。持続可能な社会への取り組みの第一歩は枯渇する資源と気候変動を含めたエネルギー問題であり、先ずは身近な所からエネルギーについて考えていかなければいけません。

とは言え、まわりを見回すと、全てのものに何らかのエネルギーが関わり、あまりに分野や程度が広すぎ、焦点をどこに当てるべきかが難題です。世界規模の経済から、自分のお財布まで大きな影響力があるのがエネルギー問題で、例えば、私たちの生活に直結する電気エネルギーのみにフォーカスをあてても、従来型の火力、再エネと言われる太陽光や風力や地熱に加え、原子力と分野が広く、完璧なエネルギーが見当たらないことが、色んな判断を難しくしています。あえて、個人で太刀打ちできることと言ったら、無駄な電気は使わないとか、暖房や冷房の温度を適正に扱うと言った『省エネ』ぐらいでしょうか。

ただ、市町村単位の細分化したコミニュティーでエネルギーを見てみると問題は色々と見えてきます。

例えば、僕の畑の倉庫から、目の前に見える旧ゴルフ場跡に敷き詰められた大量の太陽光パネル。CO2を生まないエネルギーとして太陽光を使った電力はとても魅力ある電力です。ただ、そのパネルに近寄ってみると、支柱の下部に取り付けられたパネルはかなり壊れたものがあり、一向に整備する気配がない。ひっそりとした施設を眺めると、本当に予定していた電力が正しく供給できているのか不安です。また、太陽光パネルは20年ぐらいが寿命と言われています。はたして、20年後、機能を失ったあのプラントはリサイクルされるのでしょうか・・・?
更に、国道沿いにできた太陽光パネルも美しい村連合に属する赤井川の景観を著しく害していることは言うまでもありません。
ネットゼロに向けて国が進もうとする中、太陽光パネルひとつを取り上げても、村としてはしっかりとした意思が必要で、今後、増やして行くのか、それとも、増設を拒絶していくのか、時代に合わせた方針を明確にして進む必要があります。それが地域におけるエネルギー事情なのです。そこで、今後の赤井川村が抱えるエネルギー問題への方針について何点かお聞きします。

● ネットゼロに向けた赤井川村の今までの取り組みと、今後の目標について。
● 赤井川村エネルギービジョンでは再エネについて可能性を検討していますが、現時点で具体的な展望は見えているでしょうか?
● 太陽光パネルが国道の脇に設置された際、今後、景観条例の設置に向けて勉強すると議員に説明をしましたが、その後どのように進捗し現在どのような取り扱いになっているか?
● 風力発電の設置要望があり、太陽光パネルや風車が自然の景観を著しく害し、美しい村連合に所属する赤井川村としては今後どのように対応していくか?

先にお伝えした通り、住民としては省エネをしながらエネルギーの利用を減らす努力を行うことは可能でしょう。ただ、ニセコ生活モデル地区SDGs街区のような取り組みも今後展開していかなくてはいけない課題で、例えば、家庭用の太陽光パネルの設置や、車に乗らない日を作るカーシェアリング、共働共助で畑を管理するシステム、行政においてはIOTを取り入れた仕事の最適化も加速度的に促進する必要があるでしょう。物質的な方法としては家庭の窓に三重のペアガラスを組み込むなどの断熱効果も環境に配慮した取り組みで、それらのアイデアを下支えするのは、やはり住民一人ひとりのエネルギーへの関心と問題意識だと思います。
● ネットゼロに向けた取り組みには住民の協力が必要と考えます。わかりやすいガイダンスが定期的に必要だと思いますが住民への説明や啓蒙活動をどのようにしていくか?

更にネットゼロを推進するうえで忘れてはいけないのが、太陽光を最も有効的にエネルギーに変換できる農作物です。現在はハーバーボッシュ法により、高温高圧下で空気から窒素を取り出し化学肥料が生産されていますが、これらも、エネルギーの観点で未来を予見するなら、今後、有機的な肥料に置き換えていく必要が迫られてくるかもしれません。直近、ロシアのウクライナ侵攻から波及した国際問題により、来年の化学肥料は大幅な値上げを発表しました。それに対し、国は『化学肥料低減お取り組みを行った上で前年度から増加した肥料費の7割を交付』する事が決まっています。ただそれは化学肥料の3割の値上げに加え、化学肥料低減の為に有機肥料を利用すればそのコスト分が上乗せされ、経常経費が上がることが前提に来年のの作付けをスタートさせなければならず、現在、体力を失いつつある農業者や、後継者のいない高齢の農家の離農を促進しかねない重要な動きになるでしょう。
● 肥料の高騰による影響を受け止め、来期に向けて国の援助以外の政策を考えるべきではないかと思いますがいかがでしょうか?
最後に村長の立場としては答えずらい質問かも知れませんが、今後の抱えていかなければいけない問題として原子力の問題に付いて個人的な考えを二点お聞かせください。
● 近隣市町村の問題として関心の高い『核のゴミを北海道に持ち込ませない』ということに付いて村長の個人的な見解。
● 岸田総理の発言から現実味を帯びてきた、泊原発の再稼働の問題に付いてのどう考えているかお聞かせください。